• 徹底排除宣言

kaikan小説 24| むらがって

「あ、そうそう、」

乱れたシーツの上で息を整えていたら、横からなにか急に思い出したようにりょうまくんが口を開いた。空虚で無機質な真っ白い天井をみあげながら。

「あ、そうなのね」

「え? ってまだ、僕なにもいってないっすよ」

ほんとうにみっちゃんっておもしろいなぁ、と、笑いながらあたしの髪の毛をさわさわと触れる。

「んっと、今、お店に新人が2人入店してきて、モニターになってくれる女性を募集してるんですよ」

天井を見るのをやめて首だけりょうまくんに向ける。長い睫毛に鼻筋の通った整った鼻。それで? あたしは話しの先をうながす。

「みっちゃんしてみない?」タバコすっていい? みたいな軽いのりで訊いてきた。モニターは無料なんだ。けど人は選べないけどね。りょうまくんはすくっと立ち上がり、テーブルの上にあるマルボロライトに手を伸ばす。『カチャ』と、ジッポの音がして、スー、と息を吸う音とはー、と息を吐く音がしずかな部屋に煙りと共に充満した。

「吸う?」

はい、と、タバコを差し出されて受け取る。そうして、口に加える。間接キスだね、あたしはタバコを一息吸ってからこたえる。

「は? てゆうか、間接キス以上のことしてるよね? 僕ら」あははは、りょうまくんが声を荒げてあははあははと楽しげに笑った。

「いいよ。けれど、そのときはりょうまくんもいて。りょうまくんの料金はきちんと支払うわ。あたしの感じている姿を見ててほしいな。そうゆうのってダメなのかな?」

んー、りょうまくんは長考したのち、まあ、オーナーに訊いてみるけど、と、あまり煮え切らないこたえが返ってきた。

「なに? やきもち?」ふふふ。あたしは意地悪なことを質問する。

「そう」

えっ? その単語は嘘でも嬉しかった。りょうまくんはあたしよりも4つ年下だ。

モニターの日。

りょうまくんの後ろから入ってきた男性はなんとわりと年齢高め自意識高めな男性だった。

「よろしくお願いします」

低空飛行で腰を折る。なのであたしも折った。お手柔らかに。

「なおみつです。35歳の新人です」

「みつるです。30歳の独身です」

なんだよそれ。お見合いかよ。りょうまくんが笑いながら突っ込んできた。あたしとなおみつさんはその言葉で緊張が解けふふふ、と同じように笑った。さあ、僕は居ないていではじめてください。真面目な顔になってそういった。窓際の椅子に腰かける。そうしてモニター体験が始まった。

なおみつさんの手のひらは常に汗ばんでいたし時折つくため息が気になった。大事な部分を弄られているとき意図してなのかりょうまくんの方から良く見えるように足をひらかされた。うつむいていたけれどいたく視線が気になって顔をそうっとあげたらりょうまくんと視線が重なった。いつもと違う種類のまなざしだった。欲情をしているようにもみえ、哀れんだようにもみえ、けれどあたしはその状況にもっとも興奮をした。なおみつさんはそれを自分のテクニックと勘違いしているようだけれど、それでも構わなかった。いつもお決まりのパターンだったりょうまくんとのプレイもこうやって見られることで逆に刺激になり高揚をした。きっとお互いに。

 

「みっちゃんさ、エロい顔してたよ。僕さ、勃ったもん」

「やだぁ、そうかなぁ。でも、嬉しいな」

あれから一週間が経ちまたりょうまくんを指名した。彼は勃ったもん、と軽口を叩いた。けれど、あたしにとってその言葉は涙がでちゃうほどに嬉しかった。

彼は勃起をしないのだから。ほんとは。なので「勃った」といったのはあたしにたいしてのリップサービスだったのかもしれない。女はまことに不思議な生き物で男性の勃起で自分の魅力をはかることがある。

「嬉しいな」

あたしはりょうまくんに抱きつく。りょうまくんの瞳の中に東京の夜景がキラキラと輝いていた。

この記事を書いた人

エロいことが好きな謎の風俗ライター。 ミリオン出版『俺の旅』コラム連載。 趣味 読書