• 徹底排除宣言

kaikan小説 18 |すみません、

「こんなおばさんでごめんなさいね〜」

こんなおばさんだけれど、男性の温もりに飢えていて真冬の海原に飛び込む勢いで最近もっぱら流行りの『女性向け風俗』のお店に電話をした。ジャンルは出張性感エステ。

エステとゆう呼称はちまたでもチラホラと見るので性感と2文字がついていてもなんとなく安心を与えた。普通のエステは2回ほどご招待で行ったけれど、もうこの歳だし今更エステなどに通うという気力もなくてやめた。

51歳で独身だし、ややぽちゃで、顔も良くないし、シミとシワももちろんある。

「いや、いや、ぼくをご指名くださってありがとうございます」

『性感エステ・ルイ』というお店の中の『マサヤ』さん? くん? を指名した。さん、と呼ぶべきか、くん、と呼ぶべきか、対峙して戸惑う。ネットの年齢は32歳だと書いてあったけれど、その年齢よりもとても若く見える。

「みつよ、さん、と呼んでもよろしいでしょうか?」

とても礼儀だだしい上にきちんと目を見て喋るなぁ、と感心しつつ、はい、とうなずく。

「あなたは? マサヤ、さん? かしら? マサヤ、くん? のほうがいいのしら?」

名前の呼び方に迷ったので本人に訊いてみる。と

「あはは。そんなことですか! みつよさん、気にしすぎ! マサヤでいいですよ。もう、呼び捨てちゃってください!」

あはは、大仰な笑いはちっとも嘘くさくなくてあたしも同じようにあははと笑った。

「わっ、笑顔、ナイスです! みつよさん!」

「もう! やだぁ、でもありがとう」

マサヤは犬のように人懐こくてそれでいて嫌味がない。『こんなおばさん』を『普通のおばさん』として扱う。お仕事でしているとわかっているけれど、何年ぶり? くらいに気持ちがいい。

事前のアンケートでやけにNG項目が多かったのでマサヤは目頭を揉んでから、キスもダメかぁ、と、つぶやく。

「あ、いろいろと恥ずかしいので、すみません……」

咄嗟に謝る。マサヤはアンケート用紙から視線をあたしのほうにうつし、首をよこにふった。

「いいえ。一緒に慣れていきましょう。今日は背中と臀部のオイルトリートメントでよろしいでしょうか?」

ラブホテルに入ったのは2回目だ。今時のラブホテルはなんだかおもちゃの小箱だと思う。その中にいるあたしとマサヤ。あたしは、まるで少女のように頬を赤らめつつ、顎を引いた。

ベッドにうつ伏せになる。いくら背中でも裸だ。背中にシミなどはないのだろうか。ふと、不安になった。けれど、そのようなことはまるで杞憂で、お背中、とても綺麗です、と、世辞かもしれないけれどマサヤがいった。

嬉しかった。背中にマサヤの指が滑るたび、背筋がビクンとなって子宮がうずいた。男性に触れてもらったのはいつぶりだろう。ほどんど記憶がない。あたしは心地のいいエステという名の愛撫を堪能をする。目をつむると脳裏にはマサヤが屈託なく笑っている。

『こんなおばさん』でも、あたしはやはり女なんだなぁ、と久しぶりに感じた。

「ねぇ、マサヤ」

「はい?」

時期に時間が来る。おもちゃの小箱の中の出来事はあとで夢かもと思うかもしれない。

「また、指名してもいいかな? こんどはNG行為、少なめにしてみるから」

「ええ。もちろんです。僕はいつでも駆けつけますよ」

背中から臀部に手がうつる。あっ、つい、声がもれる。口の中で我慢していた単語が口の端っこからポロポロと溢れ落ちてゆく。

この記事を書いた人

エロいことが好きな謎のアダルトライター 基本的には眠ることが一番好き